フィリピンの義務教育は、幼稚園1年、小学校6年、ジュニア・ハイスクール4年、シニア・ハイスクール2年の13年制で、公立学校の学費は無償です。
しかし、公立学校では予算不足のため教室、教材、教職員の全てが不足しており、昼・夜の2部制が取られている学校が多いです。
教科書は個人には支給されず、昼・夜の生徒で共用するため、学校に置いて帰らなければなりません。
貧しい家庭の子どもたちの中には、家族の生活を支えるため幼い頃から働いていたり、通学に必要なや制服や学用品などを買うためのわずかな経費が工面ができないために学校に通えなかったり、ドロップアウト(中途退学)してしまう子どもたちが大勢います。
統計では、小学校の6.38%、高校では7.82%の生徒がドロップアウトしています(2012、DepED)。
また、全国では140万人の子どもたちが学校に通っておらず、初等教育の就学率は88.2%と、ASEAN諸国の中でも唯一90%を下回る最低の数字になっています。
将来安定した仕事に就き社会参加するためには、教育を受ける必要がありますが、家庭環境が原因で義務教育さえ受けることができない子どもたちにとって、自力で貧困の連鎖から抜け出すことは大変難しいことです。
現在、アガパイが支援をしているのは、主にセブ 市とタリサイ市の山村地域に住む子どもたちです。のどかで平和な場所ですが、非常に貧しい家庭が多い地域です。
セブ 市の支援地域は、近年、急激に麓の開発が進み、高級住宅街が近くまで迫ってきています。
親を病気で亡くした姉妹、一家離散し大勢の兄弟姉妹で助け合って暮らしている子どもたち、年老いた祖母に預けられている兄弟など事情は様々です。
このように家庭環境に恵まれず、経済的に厳しい生活を強いられている子どもたちは、低学年のうちは、夢と希望を持ってなんとか学校に通っています。
しかし、高学年になるにつれ、幼い兄弟姉妹を学校に通わせたり、家計を助けるために働くことになります。次第に自分自身が学校に通うことができなくなり、夢も失ってしまいます。
貧しい家庭では、保護者自身が義務教育を修了していない場合が多く、学校に通わせることに対し保護者の十分な理解や支援が得られないこともあります。
また、出生証明がないために進学・進級できないという子どももいます。
アガパイは、家庭環境や経済的に恵まれない子どもたちが、本来公平に享受すべき教育機会を得て、夢をあきらめることなく貧困の連鎖から抜け出し、将来、自立した生活を送ることができるよう支援を行っています。
現在、アガパイが支援している子どもたちの中には、途中で退学(ドロップアウト)し、本来の学年より数学年遅れている子どもが普通にいます。それでも本人の努力と支援により復学し、20歳を過ぎてから無事に高校を卒業しています。
貧しい家庭の子どもに奨学金を支給するほか、定期的に子どもアクティビティを開催し精神的な支援を行うとともに、学習支援やモラル教育を行います。
週末のアクティビティに参加する子どもの中には、地域外から熱心に毎回欠かさず通ってくる子もいます。
学用品の購入のための費用を、毎月奨学金として保護者に支給します。
学習環境が整っていない貧困家庭の子どもたちには、授業を受けるうえで大きなハンデがあります。
コロナ禍によりロックダウンが行われた時、公立学校はオンライン授業となりましたが、家庭にパソコンやWi-Fi環境がない子どもたちは、モジュール学習というプリント学習を強いられました。
2022年度にはコロナも落ち着き、対面授業が再開されましたが、2023年度は異常気象による熱中症対策のため、再度オンライン授業またはモジュール学習となるため、富裕層の子どもたちのように満足な授業が受けられなくなります。
アガパイでは、大学生のボランティアが子どもたちの学年や理解度に応じて補習授業を行い、学習を指導しています。
出生証明を持たない子どもに対しては、出生証明の取得を援助することにより、復学やドロップアウト防止のための支援を行います。
子どもの成績や習熟度について、学校との連携を図ります。
就学が困難な子どもたちの支援と並行し、保護者に対する支援を行います。
AGAPAY Advocacy in Development Education
F. Llama St., Brgy Tisa, Cebu City, 6000, The Philippines
English site : agapay-ph.jimdofree.com
アガパイ日本事務局 〒899-0216 鹿児島県出水市大野原町1285