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日本で働く

長い間運用されてきた「技能実習制度」が廃止され、「育成就労制度」が設けられるという方針が決定しました。

平成5年度(1993年)に創設された技能実習は、途上国への「技術移転」、「国際貢献」を建前としていましたが、育成就労の目的は「人材確保」と「人材育成」とされており、「就労」を目的とする制度として実態に即した見直しがされることになります。

 

育成就労制度では、基本3年の在留期間の就労・育成で技術を習得し、特定技能1号への移行を目指すことも可能です。また、人権保護の面から、一定の要件を満たせば転籍も認められることになるようです。

ただ、一定期間後に帰国してもらうことを前提としていた技能実習と異なり、育成就労では、受け入れ時や受け入れ後に一定の日本語能力が必要になりそうです。

フィリピンは高学歴で優秀な若者が多い人材の宝庫ですが、工業化の進展の遅れにより雇用機会が不足していることや、若者の人口が多いことなどから、残念ながら国内での雇用環境は買い手市場となっています。

大学を卒業しても賃金が安かったり、期限付きの非正規雇用が多く、試用期間終了前に雇用契約を解除できる制度の問題もあり、必ずしも希望する職業に就き安定的に働ける訳ではありません。

そのため、家族と離れ海外で働いでいる出稼ぎ労働者が多いのですが、優秀な人材の流出にも繋がっています。

アガパイ の子どもたちには、将来、フィリピン国内で安定した職に就き、国のために貢献して欲しいと考えています。

しかし、現実にはアガパイの奨学生の中にも、日本文化に関心があり、将来、日本で働きたいという子どもがいます。

その場合、大学で生んだ専門的な技術や知識を生かして働くことが理想ですが、日本の高度人材ビザで認められる職種は非常に限られています。また、同時に、高度な日本語能力も必要になります。

 

この先、子どもたちが大学を卒業後に日本で働きたいという場合、現行の日本の制度のもとでどのようにサポートができるかが課題です。